心の中に種がある
昨年の9月から3ヶ月半ケア滞在をしたゆかりちゃん。今年の1月からは一般滞在に切り替え、4月からはここに滞在しながらアルバイトもするようになりました。そんなゆかりちゃんが、6年前に統合失調症に至った経緯から現在の心境までを振り返り、以下のようなケア滞在記を書いてくれました。(なお、いさどんブログ「Yちゃんケア開始2ヶ月後の面談に同席して」には、ゆかりちゃんのケア途中経過の模様が記されています。)
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木の花ケア滞在記「心の中に種がある~三ヶ月半のケア体験を振り返って~」
木の花ファミリーを知ったのは、一昨年の夏のテレビ番組「自給自足物語」でした。その風景では、明るく楽しそうな食卓と、ダジャレを言ってるおじさんが印象的だったのです。その後HPがあることを知り、「おやじの館」などのブログをたまに見ていました。
当時私は統合失調症(二重人格)で、仕事(飲食店のアルバイト)をしていましたが、幻聴、幻覚、幻触に悩まされる日々でした。そして、その年の暮れに症状が悪化し、体のコントロールが完全に利かなくなり、仕事を辞めざるをえなくなってしまいました。精神科の病院に通院し、薬をもらいながらカウンセリングにも通っていましたが、症状はよくならず、どうしたらいいか考えていたのです。そんな日々を過ごしているうちに自殺願望が強くなり、それを病院の先生に打ち明けると「精神病院に入院しなさい」と言われ、それを拒んで、思い切ってこの木の花ファミリーでケア滞在をしてみようと思い立ったのでした。
そして、昨年の五月の初旬に体験ツアーで訪れ、いさどんと面談をしました。その時に「あなたは二重人格で嘘つきだね」と言われ、その通りだったので「この人本物だ、この人はすごい、この人を信じてここでやってみよう」と思い、9月16日からケアでの滞在をスタートさせました。
最初の頃、私は幻聴がひどく罵詈雑言を言っていることや、体の中が突っ張った感じがひどくあって、体のコントロールが自由に利かない、日常生活が送りにくいという状態でした。それは、山羊さんのお世話を一緒にしていたチナッピーの話を十分に聞けない、通常の意識すら保てない状態でした。また、心の方も硬く、緊張、不安もあって、当時の私を見て「暗いねー」と表現した人もいました。しかし、一緒に生活をするようになって徐々に硬さがとれてきて、リラックスする方法を自分で考えたり、自宅で過ごしていた時のように音楽を聴くという方法をとったりしました。断薬については、多分滞在一週間ぐらいから徐々に減らしていき、十日後位には最後に残していた統合失調症の薬も飲まなくなっていました。
滞在の日々の中では、自分を知る自己認識の作業を徐々にしていきました。面談の中でも言われましたが、私は自意識が強い。だから、自分の癖を認めにくい。そういう自分をとにかく知っていくことをやっていきました。初期の日記では、病気の症状のことばかりが記されていましたが、次第に自分はこういうふうに感じているという表現に代わり、いさどんからのアドバイス通り冷静で客観的な自分の目線を増やして、自分を有効に使う努力をしていくことに努めました。
それから、過去のトラウマの自己分析をする課題については、なかなか取り組めませんでした。自意識の強い私は、自分の非を認めたくない、他者からのアドバイスをなかなか受け取らない為に、そのテーマは進みませんでした。それは自己防衛本能が働いていたからのように思います。また自分を振り返っても、自分を客観的に観る精度が荒いということもありました。徐々に自己防衛をやめ、内省の精度が高まった段階で、いさどんとの面談で二重人格になった経緯を伝えられました。それは、幼い頃よりの習慣、感情の抑圧という癖で、特に就職という出来事の中で感情を抑圧しすぎてしまい、その抑えていた感情が自分の手を離れて暴走し、コントロールが出来なくなってしまい、現実逃避の果てに別の人格を作ってしまったということでした。いさどんがそれを解明したのは、私の中で周りや環境のせいにするのではなく、私の心の中に私が病気となる原因を作った種があることに気付いた頃でした。
私が思うもう一つの心の病気の種は、私が傲慢であることです。滞在して二ヶ月半後の日記にはこのように記してあります。「私は就職してから、ほぼ毎日自分の心をよく振り返ってチェックしていた。でも、傲慢になるにつれてしなくなった。それが原因だと思う。自分には足りない、出来てないと思う心が必要だったと思う」とあります。私には、家族や職場の皆に支えられて生きている事に感謝して、謙虚に学んでいく姿勢が必要だったと思います。それは、今でも私の大きなテーマです。時に不足の心が出てしまう事もあるけれど、本当に大切な人間の根幹だと思うのです。それに気付けた私は有り難いことを教えてもらったと思っています。そういったことに出会う心の種がある自分を知って、自己コントロールしていきなさい、実践あるのみだよということを最後の面談で伝えられたと記憶しています。私自身、そのことは今でも大切で、常に気をつけて心がけていかなければいけないことだと思っています。
現在、ケアを卒業し、生活体験を4ヶ月半、その後アルバイトでウエイトレスを続けて2ヶ月半となりました。まだまだ自分をコントロールすることが出来ず、不安定に陥ることもあります。それは、自分がまだまだ未熟だということを教えてもらっているのだと思っています。今は自分の考え方の癖、傾向をもっと把握して、改善していき、よりよい自分になる為の努力をしていく段階であると思っています。自分の病を克服し、まだまだ自意識や癖の強い私ですが、この病気を通して一つ勲章をいただいた様な気もしています。今後は少しずつですが、同じ病を持つ人の力になれたらと思っています。
いさどん、陽子ちゃん、まり姉ちゃんのケアサポートチームを始め、ファミリーの皆様には大変お世話になりました。色々と出来の悪い私に、時に暖かく、時に厳しい言葉をかけていただいて本当にありがとうございました。そして、送り出してくれた父、母にも感謝しています。ありがとうございました。
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そして、大人会議でケア滞在記を発表したゆかりちゃんに、いさどんは次のような言葉を送りました。
いさどん:
統合失調症を一般で言われているように一生治らない病気と捉えるのではなく、「この人は良くなるかもしれない」と可能性を感覚的に捉えて取り組んだら、統合失調症でも良くなる場合があります。今ここに滞在しているSくんは、ここに来る前に10年間精神病院に入院していましたが、今は幻聴・幻覚がすっかりなくなっています。ところが、お医者さんは統合失調症を治らない病気と決め、ほとんどの人は生活から薬が切り離せなくて生涯を終えていくのです。
しかし、実際にゆかりちゃんと接してみて、僕はどのように本人から「自分が病気である」という思い込みを外していくか、そして思い込みを外したかわりにそれをどのように捉えていったらいいのか、ということを伝えていった記憶があります。それは良くしようとかではなく、目の前にあるとっかかりから進めていっただけです。結果、薬が必要なくなり、薬がなくなっても症状が変わらない状態になってきました。ゆかりちゃんはケアとして滞在する期間が他の人よりも長かったのですが、徐々にゆかりちゃん本来の健康な性質が出てきました。
ある段階を経て、家族からの経済的な支援も超えて自立するための取り組みをしようということで、今はアルバイトに行っています。そこでは1度や2度は弱音を吐いたり、トラブルが起きるだろうと思っていたのですが、全くそういったことはありませんでした。ケア滞在期間やその後の一般滞在の時でも、あんなに色々と声をかけてきたのに、今彼女は自己コントロールしながら上手に世の中を歩んでいます。だから、ゆかりちゃんの存在は僕の中で最近は薄いのです。濃い人は気になる人で、問題を持っているからこそ気になるのですが、最近は全く気になることがないので、以前はとても気になる人でしたから、とても不思議な感じがしています。
これは大分良くなってからのことですが、ゆかりちゃんが面白いのはいつも一生懸命で、見えないところでも一生懸命仕事をするのです。人に評価されたい人は見えるところだけやって、見えないところは手を抜いているものですが、ゆかりちゃんは見えないところでも一生懸命やるのです。時々やりすぎていた時もあり、「無理しないようにね」と声をかけていたこともあったのですが、最近はまったく声をかけなくても安心して見ていられる人になりました。
ゆかりちゃんは滞在記の中で、「一つ勲章をいただいた様な気がする」と書いてあるのですが、僕はぜひ精神医療業界からゆかりちゃんを健康にした功労者として勲章をいただきたいと思います。世の中では、まだこういうことを信じられない人たちもいます。本当はこういう取り組みをもっと大切にして、いのちを金儲けの対象にしてはいけないと思うのです。そういう世の中にしていきたいと思っています。
ゆかりちゃんの言葉にあるように、これからも同じ病を持つ人、つまり他者の為に生きる人になってもらいたいと思います。
ゆかりちゃーん!! おめでとう。。
時々、洗濯物を干してる時に、出会うんだけれど、いつもにこにこで、病気だったなんて、信じられませんー
こうやって、人を輝かせていく、木の花の、すごさに、またまた、恐れ入りました、です。
映画「ペイフォアード」や、ラグビーの「オールフォーワン」を、正に、日々、地でやってるみんなを尊敬してます。
これこそ、世界が平和になっていく、正に、見本をやってくれてる場所ですね。。
木の花、、バンザーイ!! いつもありがとう。。
感謝をこめて、、 たけちゃんより